星空公団
〜街と星空の共存を目指して〜

第一回まちかど観望会ワークショップレポート

2010年2月27日
星空公団

「世界天文年、その先へ」ということで、世界天文年が終わってもその取り組みを継続していこうという宣言「世界天文年2009から未来へ」が、昨年度末の神戸での世界天文年グランドフィナーレにて出されました。 またBeyond IYAということで、世界各国でもAstronomers Without Borders という組織が中心となって、4月をGlobal Astronomy Month (GAM)として定め、土星や月の観望、世界一周観望会を呼び掛けるなどの行事が予定されています。 その活動の中で軸になるのが、海外ではアマチュア天文学としての活動の一環として広く行われているまちかど観望会(sidewalk astronomy)。 エンターテイメントの要素や、公への科学教育の取り組みとして、非営利的に自らの望遠鏡をまちかどに設置して天体観察を開催する取り組みです。

天文や宇宙、そしてわたしたちの住む地球への興味・関心を呼び覚ます・・・そんなまちかど観望会をここ日本にて促進するために、「第一回まちかど観望会ワークショップ」が東京水道橋の会議室にて2月27日(土)に開催されました。 このワークショップは、駅前や市街地で通りがかりの人に呼びかけて行う星空観望会(まちかど星空観望会)の情報交換やノウハウ紹介、それにこれから始めようとする人たちへの呼びかけ、継続的に活動を行う手法の検討を狙ったワークショップです。 良好な星空環境の供給を目的に、様々な活動を展開している星空公団の企画・主催、東京理科大学天文部協力の下で行われ、8つの大学の天文サークル、3つの社会人天文団体、科学館、天文関係企業等から計32人が参加しました。 今まで観望会を行ったことがある方から、これから始めようという方までが半日のワークショップにて実施例の紹介、意見の交換を行いました。

ワークショップ1では、「まちかど観望会とは?=まちかど観望会でない観望会との違いから探るまちかど観望会=(星空公団 大川)」ということで、違いを意識することによって観望会に役立てるというコンセプトの元、参加者からの意見にパネリストと、観望会経験者の実経験に基づいて補足するという形で進められました。

Photo 1

ディスカッションでは

等の意見が出されました。 また「機材を見ている人が多いため、目立つ望遠鏡を使う。」といったユニークな工夫も見られました。 さらに、まちかど観望会では多くの人の目もあるため、道路や機材の使い方などのマナーには気をつけないといけないということの再認識も行いました。

ワークショップ2では、まちかど観望会の開催例紹介をメインに、星空公団(原田)、茨城大学星見同好会(檜木)、 t-walkers(北村)、防府市青少年科学館(臨時職員)/山口大学大学院生(鈴木)、城里町ふれあいの里天文同好会(田口)の発表が行われました。 星空公団の全国で展開している星空観望会のまとめとして、星空公団からまちかど観望会の意義や、もし日本全国の人に星を見せるとしたら、何人のスタッフが必要といったような試算がなされました。 また、ISSやイリジウムを観望対象にしたり、シリウスを紹介する際に「8.7才の子、いますか?」の様に紹介する等の実体験についても紹介されました。 茨城大学・星空公団水戸支部が行っている「水戸駅観望会」については、駅前観望会についてのまとめ、天文同好会に向けた活動の継続、2月24日の水戸駅観望会の活動の紹介が行われました。 また、大学生主体の「ゲリラ観望会・名古屋部隊t-walkers」は、主に月をターゲットとして中秋の名月、栗名月、また晴れた日にゲリラ的に観望会を行っているということ、口径7〜8cmの小型望遠鏡をメインにしたフットワークの軽さについて等が紹介されました。 その後まちかどではありませんが、観望会の例として「山岳観望会(鈴木)」の紹介として白馬岳での山小屋のアルバイトの際でのまちかどと対極の星空での一般の方への観望会開催事例、「茨城県城里城里町ふれあいの里天文台、隣接するホロルの湯での観望会の世界天文年における取り組み」が紹介されました。 まちかど観望会経験者にとっては、他の地域や団体の活動を知る良い機会になったと共に、まだ開催したことのない団体からは、開催にあたっての質問が飛び交いました。

Photo 2

ワークショップ3「飯田橋RAMLAショッピングセンターでの実施まちかど天体観望会」は曇天に小雨混じりという生憎の天気の為、中止になりました。 しかしながら実際にその場所に行って人通りや敷地面積、ビルが建つ中での視界についての確認を行いました。 3月26日〜29日には星空公団がRAMLAの5周年イベントとしてのまちかど観望会の実施、4月には東京理科大学天文研究会がこの場所で同団体としての観望会を初開催する予定です。

その後は懇親会が行われ、お酒を飲みながらの大学生から経験豊富な社会人までが一緒になって冗談も交えながらの楽しい交流会となると共に、今後の観望会の開催計画や、協力等の話も交わされました。

第2回のワークショップは、関西方面に主にターゲットを置いており、2010年3月27日(土)に大阪市立中央青少年センターにて行われます。 また、大阪城公園にてまちかど観望会を実施します。 関西方面でまちかど観望会を行っている天体観望会団体「いくやくの星空」の開催事例紹介他、たくさんの団体の紹介、参加が予定されています。詳細は、開催案内をご覧下さい。